買うコツ

資材高騰に負けない!「中古リノベ総予算」をコントロールする10のコツ【一戸建て編】

山野 大祐

「中古戸建て購入+リノベーション」を考えるうえで避けて通れないのが、資材価格の高騰です。不動産の価格も高止まりが続く中、近年はリノベーション費用も顕著に上昇しています。

「改修範囲を最小限にする」「価格の安い築古物件を購入する」など打てる手はあるものの、優先順位や物件選び、建物の状態の判断を誤れば、住み心地や満足度を損ねてしまうかもしれません。さらに、将来的にメンテナンスコストがかさみ、結果的に総予算が膨らんでしまう可能性もあります。

そこで本記事では、G-FLAT(株)代表の山野大祐(やまの だいすけ)が、中古戸建てリノベの総予算を抑えるコツを解説します。

1. リノベーション費用が上昇中!

近年、木材などの基礎原料から下地材や仕上げ材、浴室やキッチンなどの設備まで、ありとあらゆる資材が高騰しています。体感としては、2026年までの2〜3年で2〜3割ほど上昇している印象です。まずは、費用が上がっている背景と今後の見通しを押さえておきましょう。

なぜリノベーション費用が上がっているの?

リノベーション費用が上昇している理由を一つに特定することは難しいものの、2022年にロシアによるウクライナ侵攻が始まったことが契機になった感覚があります。

2026年2月からの中東情勢の緊迫化による「ナフサショック」については、夏頃にはすでに流通が正常化しています。政府も再三言っていたように、ナフサ自体の備蓄はあったようで、一時は駆け込み需要により目詰まりが起きていましたが、現在は落ち着いています。ナフサ由来の資材が顕著に高騰しているということもなく、全体的に資材価格が上がっている印象です。

図1:建築費指数(木造)
コロナ禍以降、段階的に建築費は上がり、2022年前後からその勢いは加速している(画像出典:一般財団法人 建設物価調査会)

今後、資材価格が下がることはある?

国際情勢に加え、おそらく円安やインフレ、人材不足など、さまざまなことが要因となって価格が上昇していることから、特定の事象が解消されたとしても資材価格が下がる余地はないと考えられます。

さらに人件費については、まだ上昇分を価格に転嫁しきれていない状況です。当然、上がってはいるものの、資材価格と比べれば人件費の上昇はわずかなもの。資材価格が顕著に上がっているため、職人の報酬にお金が回っていないのが実情であり、本来はしっかり人件費も上げていかなければなりません。当面は、資材価格の高止まりやさらなる高騰を前提に予算を考える必要があるでしょう。

一戸建てのリノベーション費用が上昇中!
  • リノベーション費用の高騰は、国際情勢や円安、インフレ、人材不足などさまざまなことに起因しているものと考えられる
  • 人件費上昇分はまだ価格に転嫁しきれておらず、上昇要因も一つではないと考えられるため、今後価格が下がる余地はない

2. プロのおすすめ!一戸建てリノベーションのコストカット術10選

資材価格の高騰が続く中でも、工夫次第でリノベーションの総予算は抑えられます。ここからは、一戸建てリノベーションについて10のコストカット術を順に紹介していきます。

1.優先順位をつける

コストカットに最も大きく貢献するのは、優先順位をつけて不要なリノベーションを避けることです。これができるのがリノベーションの醍醐味でもあります。たとえば建売住宅では、自分や家族には不要な設備・機能が付けられていることも多く、その分も価格に含まれます。一方、リノベーションはフルオーダーメイドのため、予算と相談しながら必要なものを優先的に採用して住まいに反映していくことができます。

優先順位をつけていく作業は、プロのサポートを受けるべきでしょう。自分が優先したいと思っていることでも、プロがヒアリングしていくと、その人や家族の思い描く暮らしにおいては、より優先すべき箇所が別にあることも少なくありません。たとえば「収納量が必要」だと思い込んでいたとしても、よくよく聞いてみると、必要なのは収納の容量ではなく、収納の位置の変更だったりすることもあります。

まず「ここを改修したい」ではなく「こんな暮らしをしたい」から考えることが大切です。思い描く暮らしのイメージを明確にしてプロに相談することで、本当に必要な設備・機能やその優先順位が明確になります。

2.間取りを変えずに予算を抑える

間取りを変更するリノベーションは費用が高くつきやすいため、予算の総額を抑えるなら間取りはできる限りそのまま活用したいところです。柱の位置まで変えるとなると構造を補強するための工事なども必要になり、さらに費用は高くなります。既存の間取りを活かし、なるべく壁の位置を変えずにリノベーションすることがコストカットにつながります。

間取りの変更にかかる費用は工法にもよります。柱や梁ではなく壁で建物を支える木造枠組壁工法(ツーバイフォー工法)は、壁の位置を変える工事の費用が高額になりやすい傾向があります。

3.国産材を使用する

資材価格の高騰には国際情勢や円安の影響もあるため、国産材は比較的、価格の変動が少ないように思います。

一般的なフローリングは薄い木を重ね合わせた合板ですが、弊社では国産の無垢材を提案することもあります。肌触りがよく、湿度も調整してくれることが大きな理由ですが、価格が大きく動いていないため提案しやすいというのも理由の一つです。無垢材というと高額なイメージがあるかもしれませんが、材質によっては合板の既製品とほとんど変わりません。最もお手頃なのは、杉。日本では大量に取れるので、価格も安定しています。

一方で、無垢材のメンテナンスに手間を感じる人もいます。やはり自然の素材なので、湿気によって隙間が空いたり、シミになったりすることもあります。ただ無垢材は表面を削れるため、多少の傷や汚れなら元に戻せます。また、耐久性も合板に勝るなど、その他のメリットも認識したうえで、総合的に自身のライフスタイルや思い描く暮らしに合うかどうかを判断してほしいと思います。

図2:杉の床材
杉は足に触れたときの「あたり」がやわらかく、心地よい弾力が特徴(画像出典:G-FLAT)

4.壁は「クロス」が最も安価

室内の壁の仕上げには、塗り壁やパネル、タイルなどさまざまなものがありますが、最も安価なのは「クロス」です。漆喰やタイルは表情が変わって魅力的ですが、施工の手間もかかるためコストが高めになります。

とはいえ、せっかくリノベーションするなら、コストだけでなく意匠性にもこだわりたいところ。コストを抑えるなら、全面を塗り壁やタイルにするのではなく、壁の一面や目に触れやすい部分だけとし、後はクロスで仕上げるなど、メリハリをつけることが大切です。

図3:アクセントクロス
彩度の高い色味や柄物のアクセントクロスを一部に使用することで、部屋に統一感が生まれたり、引き締まった効果が期待できる(画像出典:G-FLAT)

5.一戸建てに強いリノベーション会社を選ぶ

一戸建てのリノベーションは、マンションよりはるかに難しいものです。そのため、一戸建てができれば、マンションのリノベーションも可能ですが、マンションが得意な会社が、一戸建てのリノベーションもできるとは限りません。

設備の変更やクロスの張り替えなどであれば、どのようなリノベーション会社でも可能です。しかし、耐震や省エネなどの性能を向上させるリノベーションは、一戸建ての実績が豊富なリノベーション会社に依頼したほうがいいでしょう。「耐震計算や断熱計算ができるか」は、十分な性能向上リノベーションができるかを見分ける重要なポイントです。

また、物件探しを建物の知識がない不動産会社だけに任せることは避けたいところです。引渡しを受けるまで壁や床を剥がして状態を確認することはできませんが、一戸建ては建物の中身を開けて初めて不具合が見つかることも多いものです。経験値の高いプロなら、表層のシミやヒビなどからある程度、中の状態を予測できます。

コストを抑えるためというより、予想外の大きな費用がかからないようにするために、物件探しの段階からリノベーション会社に入ってもらうのがおすすめです。物件の提案や仲介から改修プランの作成までワンストップで対応してくれるリノベーション会社なら安心でしょう。宅建業免許・建設業許可・建築士事務所登録の3つがあれば、仲介も改修も可能です。

6.検査(インスペクション)を実施する

フルリノベーションではなく、リノベーションの範囲を最小限に抑えたい、あるいは表層のリフォームだけに留めたいという場合は、検査(インスペクション)の実施も検討しましょう。改修後にも問題がある箇所が残っているおそれがあるためです。キッチンや浴室の改修だけで済むと思っていたところに重大な不具合が発覚すれば、出費が想定を大きく超える可能性もあります。検査(インスペクション)を実施することで、安全上、優先度の高い箇所を見極めることができ、トータルコストも予想しやすくなります。

一方、フルリノベーションなら、漏水や雨漏り、シロアリ被害などがあったとしても、すべて取り除き、解消することができます。予想外の不具合が見つかったことで費用が上がることはありますが、数十万円、数百万円のように大きな誤差にはなりにくいでしょう。

7.「築古×フルリノベ」で満足度を最大化

同じ予算で最大の満足度と性能を得るなら、築浅物件の購入×プチリフォームよりも「築古×フルリノベ」をおすすめします。

今はリノベーション費用が高く、一時は納入遅れもあったため、わずかな改修で済む築浅の一戸建てを検討している人も数多くいます。しかし、築浅はリノベーション費用が抑えられたとしても物件価格が高く、結果的に築古戸建てを購入してフルリノベーションする場合とコスト面で大差はありません。

満足度が高いのは、圧倒的に「築古×フルリノベ」です。建物の躯体は古くても、フルオーダーメイドで作ることができ、性能面も築浅を上回ることが可能です。「建物の状態」はリノベーションで変えられるため、物件選びで重視すべきなのは、改修できない立地や景観、窓からの眺め、通風、日当たりなどです。

8. 購入時にまとめて改修・メンテナンスをする

一戸建ての場合は、購入時にできる限りまとめて改修・メンテナンスをするのがいいでしょう。部分的な改修に留めれば取得時の費用は抑えられますが、5年後も10年後も工事しなければならないとなれば、トータルコストは結果的に上がります。

工事のたびに、足場の設置費用や職人の人件費といった「その都度かかる費用」が発生するため、別々に分けて施工するより一度にまとめたほうが割安になります。また、生活を始めてから工事するとなると、その間の不便や仮住まいの負担も生じかねません。入居前にまとめて済ませておけば、そうした手間も避けられます。

9.中古戸建ての引渡しまでにプランニングを完了させる

中古住宅を購入してリノベーションする人の多くは、入居するまで家賃を払って賃貸住宅に住むか、買い替え前の住まいの住宅ローンを払っています。リノベーションは引渡しを受けてからでないと着工できないため、改修中は今の家の費用と新居の費用がダブルでかかることになります。いかにスムーズに改修を終え、入居できるかも、コストカットという観点では見逃せないポイントです。

スムーズに入居するには、引渡し後、速やかに着工できる状態にしておくことが大切です。つまり、プランニングは引渡し前までに終わらせておくということです。フルリノベーションともなると、プランニングに3ヶ月程度はかかります。中古住宅は、売買契約から引渡しまで2ヶ月ほど期間が空くのが一般的です。できればその期間を3ヶ月ほどに延ばしてもらったり、契約前からプランニングを始めて引渡しまでにプランニングを終わらせることが肝と言えます。

10.補助金を賢く活用する

リフォーム・リノベーションに対する国や自治体からの補助金は、近年、非常に充実しています。活用することで、数百万円単位のコストダウンにつながることもあります。ただ、どちらかと言うと中古住宅を購入してリノベーションする人ではなく、自宅を改修する人向けの補助金が多いように思います。制度によって申請方法が異なり、手続きがややこしいものも多いため、事前に適用要件や流れを確認しておきましょう。

また、補助金ありきで動いたり、補助金の獲得を優先し過ぎたりすることで、選択肢が狭まったり、着工が遅れたりして、結果的に総コストが上がる可能性もあるので注意が必要です。補助金の申請に慣れているか、補助金を含めて総コストを比較、シミュレーションしてもらえるかどうかを、事前に確認しておくといいでしょう。

プロのおすすめ!一戸建てリノベーションのコストカット術10選
  1. 優先順位をつける
  2. 間取りを変えずに予算を抑える
  3. 国産材を使用する
  4. 壁は「クロス」が最も安価
  5. 一戸建てに強いリノベーション会社を選ぶ
  6. 検査(インスペクション)を実施する
  7. 「築古×フルリノベ」で満足度を最大化
  8. 購入時にまとめて改修・メンテナンスをする
  9. 中古戸建ての引渡しまでにプランニングを完了させる
  10. 補助金を賢く活用する

3. 見積もり・工期延長・仕様変更…2026年特有のアドバイス

資材価格が動きやすい今は、従来のリノベーションとは異なる注意点もあります。最後に、2026年ならではのアドバイスを2つお伝えします。

見積もりの「有効期限」に注意

従来、リノベーションの見積もりの有効期限は3ヶ月ほどが一般的でした。しかし、現在は1ヶ月、場合によっては2週間ほどが期限の見積もりも少なくありません。やはりこれだけ資材価格が高騰していると、有効期限が長い見積もりを出すことはリスクがあるというのがリノベーション会社の本音です。こればかりはどうしようもありません。

プランニングの最中に価格が上がる可能性もあります。だからと言って、焦ってプランニングして満足度が下がってしまうことも避けたいところです。あらかじめ「多少価格が上がる可能性がある」と考えておくほかないと思います。

具体的には、総予算の中にあらかじめ10%前後の物価変動予備費(バッファ)を見込んで資金計画を立てる、物件選定から契約までのスピードを落とさないよう事前のヒアリング段階で「絶対に譲れない条件」をしっかり固めておく、といった対策が挙げられます。

工期の延長・仕様変更の可能性を考慮する

今はかなり落ち着いてきましたが、流通が不安定な時期には、引渡しが遅延したり、流通が安定している代替品を使用したりすることもありました。

断熱材などは性能が同じであれば代替品でもそこまで問題にはなりませんが、浴室やキッチンを別のメーカーの製品で代替せざるを得ないことも実際にありました。今後もこうした対応がないとも言えないため、契約前に納期や代替品対応の方針をリノベーション会社に確認しておくと、いざというときに慌てずに済みます。

見積もり・工期延長・仕様変更…2026 年特有のアドバイス
  • 見積もりの「有効期限」に注意
  • 工期の延長・仕様変更の可能性を考慮する

4. 資材高騰時代のリノベ成功の鍵は「優先順位」と「会社選び」。「どんな暮らしをしたいか」を考え、賢くコストを抑えよう

工事価格の下落が今後も期待しにくい昨今、リノベーションを考えるなら、コストコントロールにおいては早めに着手することがポイントとなります。ただし、むやみに焦るのではなく、大切なのは、入念な「事前準備」と「優先順位づけ」を行なっておくこと。そのためにも、一戸建ての実績が豊富なリノベーション会社を選び、プロにしっかり相談しながら進めましょう。