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【保存版:雨の日内見チェックシート】内見の日が雨になったら見極めたい、管理の質と耐久力、心地よさの9項目

本多 真理

せっかく気になる中古住宅を見に行く日が雨だと、残念な気持ちになるかもしれません。しかし実は、雨の日は住まいの“弱点”や“劣化・不具合のサイン”が浮き彫りになる貴重なタイミングでもあります。

晴れの日には見えにくい水はけの状態や湿気、音、におい、さらには共用部の使われ方や管理の質まで、雨天時だからこそ確認できるポイントは数多く存在します。言い換えれば「最も厳しい環境下での状態」を事前にチェックできる絶好の機会とも言えるでしょう。

本記事では、ブルースタジオの本多真理(ほんだ まり)が、雨の日の内見でチェックすべき具体的なポイントと、その見極め方について詳しく解説します。

1. 内見が雨の日だったらラッキー!? 雨天だからこそ確認できるポイント

暗く、ジメジメしている雨の日は、内見のコンディションとしてよくないように思うかもしれませんが、入居後に遭遇するかもしれない「最悪の状態」「快適さの最低ライン」を予め確認できるのは非常にラッキーとも言えます。内見は買主様と売主様、不動産会社と日程を調整するため、雨の日を選んで内見するのは難しいですが、たまたま雨天の日であれば晴れの日にはわからない次のようなことが確認できます。

1.外周り

雨の日だからこそ確認できることの一つに、まず「水はけ」が挙げられます。たとえば、外構周りや庭、エントランス、スロープなどに水が溜まりやすいと、雨の日に滑ったり転んだりするリスク、靴が濡れる不快感、ベビーカーや車椅子が押しにくいなどの不便さを感じる可能性があります。

また、水はけが悪い要因が清掃不足にあることも。共用部やベランダの排水溝に落ち葉やゴミが詰まっていないかを確認してみてください。もし排水溝が詰まって水はけが悪くなっているようであれば、住人や管理会社の清掃頻度、ひいてはマンション全体の管理に対する意識を表していると言えるでしょう。

水害リスクはハザードマップで確認できますが、水はけについては現地、なおかつ雨の日でしか確認することはできません。

2.駅までの道のり

物件周辺だけでなく、駅からマンションまでの道のりも見ておきましょう。雨の日は交通量が増え、車の水はねが気になる場面もあります。

また、浸水したことのある道路、あるいは浸水のおそれがある道路には、看板が立っていることもあります。単身者や夫婦2人など大人だけの世帯は、物件周辺や駅までの道のりの安全性について、それほど気にならないかもしれません。しかし、子どもが生まれたときに予想していた以上に危険を感じ、それが住み替えの理由になるご家庭もあるほどです。

内見時は車で現地まで送迎してくれる不動産会社も多いですが、できれば内見前後に物件周辺や駅までの道のりを歩いてみてください。広告上の距離表示は「80m=徒歩1分」で換算されますが、雨の日は特に、坂や踏切、歩道橋などがあると実際の距離以上に道のりが長く感じられるものです。

  • 実は見送りがちなバス便の立地の魅力

バス停が近く運行便数が確保されているエリアであれば、雨の日はバスを活用するという選択肢もあります。「駅徒歩10分以内」を条件にする人は多く、バス便エリアの物件を敬遠する声もありますが、雨の日も晴れの日も、長い道のりを歩かずに通勤・通学できるのは思いのほか快適なものです。雨の日だからこそ、こうしたことを体感できる好機とも言えます。

3.共用廊下(マンション)

内廊下でないマンションは、雨の日の共用廊下の状況も確認しておきたいところです。屋根がないために雨や風が吹き込んでこないか、暗さや閉塞感を感じないかといった点は、晴れの日には気になりにくく、確認することができません。

また、共用廊下の使われ方も、雨の日こそ見えやすいポイントです。窓の桟(さん)に濡れた傘をかけている家庭が多いマンションもあれば、ルールが徹底されていて廊下に一切ものが置かれていないマンションもあります。共用部の使われ方は、そのマンションの管理レベルや住民意識を映す鏡とも言えます。善し悪しと言うより、自分の価値観と合っているかを見ておくとよいでしょう。

雨の日は「床の滑りやすさ」を確認できる機会でもあります。廊下やエントランスの床材が濡れた状態でどれくらい滑りやすいかは、高齢者や小さな子どものいる世帯にとっては特に確認しておくべきポイントです。

4.湿度・カビ臭さ

雨の日は、湿度や独特なにおいを感じやすくなります。室内に入ったときにムワっとするのか、サラっと感じるかは、快適に住むためには意外と大切なポイントです。湿気を感じる場合は、カビや結露が発生しやすい可能性があります。

特に北側の部屋や、クローゼット・押し入れなどの収納の中は湿気がたまりやすいため、注意深く確認しておきましょう。目に見えてカビが生えていたり、壁や床、天井、家具の接する壁などが黒ずんでいたりすることもあります。

特に1980年以前に建築された物件で、普段から換気が十分でなかったり、北側のお部屋に大きめの家具が壁にベッタリ設置されている場合などは、カビや黒ずみが発生しているケースが比較的多いように感じます。また、雨の日は気圧の変化によって排水トラップの封水が切れやすくなり、下水のにおいが上がってきやすくなることもあります。カビ臭だけでなく「排水臭」の有無も、雨の日だからこそ確認しやすいポイントです。

5.バルコニー(マンション)

マンションでは上層階のバルコニー部分が庇(ひさし)の役割を果たしていることが多く、雨の入りやすさはその奥行きによって変わります。奥行きが深ければ雨は入りにくくなりますが、その分日差しも遮られるため、一概にどちらがよいとは言えません。ただ、雨の日であれば明るさの「最低ライン」を実際に体感できるという点で、貴重な確認の機会と言えます。

また、一部の物件では居室の上が上層階のルーフバルコニーになっているケースがあります。この場合、上層階も居室である場合と比べて雨漏りのリスクが高くなる傾向があるため、特に念入りにこれまでの修繕履歴を確認しておきましょう。

6.雨漏り

雨が降っているからこそ、雨漏りによるシミや壁紙の浮きなどを発見できることがあります。ただし、多くの場合、雨漏りは修繕済みであるため、天井や壁を見ただけでは判断しにくいのが実情です。

過去の雨漏りは、売買契約書に付帯する「物件状況等報告書」に記載されます。できれば多くの人が初見となる契約時ではなく、事前に確認・把握できるよう仲介会社に相談しておくことが望ましいでしょう。特に注意が必要なのは、同じ箇所で繰り返し雨漏りが発生しているケースです。修繕が不十分であったり、原因が特定されていなかったりする可能性があり、今後も再発のリスクが懸念されます。

7.音

雨の日は、雨音や車の走行音など、晴れの日には聞こえにくい音を確認しやすい機会です。窓を閉めた状態での外部の音や、シャッターがある場合はその開閉音もあわせてチェックしておきましょう。また、配管を通る水音なども、雨の日だからこそ確認できるポイントです。

見落としがちなのが、雨樋(あまどい)から水が溢れる音や叩きつけるような雨粒の音です。寝室の近くに雨樋がある場合は就寝時などに気になることがあるため、位置も含めて確認しておくと安心です。

8.サッシ

強い雨が降ると、古いサッシでは内側に雨水が浸入することがあります。

一戸建てであれば所有者の一存でサッシを交換することができますが、マンションの場合、サッシは共用部にあたるため、変更には基本的に管理組合の許可が必要です。

ただ近年は省エネや断熱の重要性が認知されつつある中で、管理組合に申請し、許可してくれるマンションも増えてきています。管理組合主体でサッシを入れ替える修繕計画を立てていることもあるので「マンションのサッシは変えられない」と諦めずに、変更の可否を確認してみましょう。

9.明るさ

雨の日は、晴天時とは異なる、その建物や部屋が持つ本来の表情が見える日でもあります。共用部の階段や通路に暗さや不安を感じないかどうかを確認しつつ、必要なチェックが一通り終わったら、少し肩の力を抜いて、感覚を研ぎ澄ませながら室内を眺めてみてください。

たとえば、暗い雨の日は照明がどれほど必要か、また照明がどう映えるか。あるいは、雨の日ならではの「こもり感」が心地よく感じられるか。こうしたことをイメージしてみましょう。

気になる点や違和感があれば、併せて家具の配置やリフォーム・リノベーションで解消できそうかも検討してみてください。「今の状態」だけで判断するのではなく、手を加えた先の暮らしを想像しながら見ることも、内見を活かすうえでの大切な視点です。

雨天だからこそ確認できるポイント
  1. 外周り:水はけ、落ち葉やゴミ詰まり
  2. 駅までの道のり:安全性・駅までの距離、歩いたときの疲労度
  3. 共用廊下(マンション):雨風にさらされるか・共用廊下の使用方法・滑りやすさ
  4. 湿度・カビ臭さ:ムワっとするかサラっと感じるか・カビや結露の跡・におい
  5. バルコニー(マンション):バルコニーの庇の奥行き・明るさ
  6. 雨漏り:発生した箇所や修繕内容
  7. 音:雨や風の音・車両の走行音
  8. サッシ:雨水の浸入・交換の可能性
  9. 明るさ:共用部や部屋の雰囲気、照明の要否

2. 【保存版:雨の日の内見チェックシート】

ここまで紹介してきた確認ポイントを、内見当日にすぐ使えるチェックシートとしてまとめました。雨の日の内見は、普段は見えない住まいの素顔と向き合える貴重な機会です。事前にダウンロード・印刷して、ぜひ内見にお役立てください。

3. 湿気・結露は住まいの大敵!購入前に確認しておきたいポイント

前章でも触れたように、雨の日は湿気やカビのにおいを感じやすい環境にあります。湿気や結露は住まいの大敵であり、少しでも気になる点があれば、第三者のプロによる検査(インスペクション)の実施も視野に入れておきましょう(詳細は後述)。

湿気・結露が住まいに与える影響

湿気や結露は、居住者の快適性や健康に悪影響を及ぼします。さらに一戸建ての場合は、シロアリ被害や木材の腐食を引き起こす要因にもなり、住まいの耐久性や安全性にまで影響が及ぶことがあります。

壁・床・天井や収納内にカビや黒ずみが見られたり、カビ臭さが感じられたりする場合は、天井裏や床下、浴槽まわりなども確認してみてください。腐食が進行しているケースも少なくありません。

近年は住宅の省エネ性能や断熱性能への関心が高まっており、今後さらに基準が引き上げられる見通しです。ただし、断熱性能が高まるからといって、湿気や結露が発生しにくくなるとは一概には言えません。湿気や結露の発生には気密性や換気が深く関わっており、現在も気密性能に関する基準は設けられていないのが実情です。また、施工状態によっては、壁の内部で結露が生じるリスクが高まることもあります。

カビが発生している場合でも、防カビ処理や家具配置の工夫、窓・サッシの性能向上による結露対策など、リフォーム・リノベーションによって改善できる余地は十分にあります。物件の状態に応じて、購入と同時にリフォーム・リノベーションを検討することも、有効な選択肢の一つです。

検査(インスペクション)とは

検査(インスペクション)とは、建築士が第三者的な立場から、建物の構造的な安全性や劣化の状況を確認するために行うものです。特に一戸建ては、新築直後などを除き、ほぼすべての物件で実施をおすすめしています。検査を行うことで不具合や劣化の状況が把握しやすくなるだけでなく、修繕が必要な箇所も明確になります。

一戸建ては10〜15年に1回程度、雨水の浸入に影響する屋根・外壁・バルコニー・屋上の防水施工や、防蟻処理などのメンテナンスが必要です。しかし、築20年、30年でも、売却時点まで一度も検査(インスペクション)を実施していない物件は決して珍しくありません。感覚的には7割程度の中古戸建てで必要なメンテナンスが行われていないと感じます。

また、カビや結露のリスクは、売主のこれまでの住まい方によっても大きく変わってきます。マンションにも共通することではありますが、特に一戸建ては所有者の裁量が大きい分「築年数より管理状態」が重要です。

築10年でほとんど掃除もメンテナンスもされてこなかった物件より、丁寧に住まわれ、しっかりメンテナンスが施された築30年の物件のほうが安心できる場合もあります。そういった意味では、築浅であっても検査(インスペクション)を行う意義は十分にあります。

検査(インスペクション)を実施するタイミングは目的次第

劣化や不具合の状況については、できれば契約前に把握しておきたいところです。ただし、契約前に検査(インスペクション)を実施するには売主の承諾が必要であり、その交渉や購入判断に時間をかけるあまり、他の買主に先を越されてしまうリスクもあります。

検査(インスペクション)を実施する適切なタイミングは何のために行うのか、その目的によって異なります。

検査結果が購入の可否を左右するほど重要な場合は、契約前の実施が適切です。一方、目的が修繕箇所の特定や費用の見積もりであれば、契約後の実施でも支障はないでしょう。

検査(インスペクション)はプロに頼むべきか

カビや黒ずみ、においは自身でも確認できますが、それが深刻なサインかどうかの判断は、やはりプロに委ねるべきでしょう。たとえば、浴槽の天井にある点検口から天井裏を覗くことが全くできないわけではありませんが、確認できる範囲は限られており、専門家による検査(インスペクション)を実施する意義は大きいと言えます。

不動産会社は不動産流通のプロであり、建物そのものの専門家ではありません。検査(インスペクション)は所定の講習を修了した建築士が実施するため、不具合の有無やその深刻度を適切に判断することができます。また、検査結果によっては、瑕疵(かし)保険への加入も選択肢の一つとして検討できます。

湿気・結露は住まいの大敵!購入前に確認しておきたいポイント
  • 湿気や結露は住まいの快適性や耐久性、寿命に関わり、住む人の健康にも影響する
  • 築浅でも戸建ては検査(インスペクション)を実施する意義が大きい
  • 検査(インスペクション)を実施するタイミングは、検査の目的によって異なる
  • 検査(インスペクション)はプロ(インスペクター)に頼むべき

4. 雨の日は“最低ライン”を知るチャンス。 見えた「リスク」を理解し、納得して住まいを選ぼう

今回は雨の日の内覧について、少しマニアックなポイントも伝えましたが、現実的には「この物件いいかも!」と思ったときに、ある程度即決できる気持ちも必要になります。大切なのは、リスクを踏まえたうえで「許容できるか」「それでもここに住みたいか」を自分なりに判断することです。

物件を決断する際によくあることとして、気に入った物件にいざ出会うと、それまで気にしていたことが嘘のように「それでもここがいい!」と感じる瞬間があります。すべての希望条件を完璧に満たす物件は、まず存在しません。条件にとらわれすぎると、かえって判断の軸を見失ってしまうこともあります。最終的には「直感」と「リスクの理解」の2つを大切にすることが、納得のいく住まい選びへとつながるはずです。