50代以降になると、子どもの独立や自分たちのセカンドライフも視野に入ってくることから住み替えを検討する世帯が増えてきます。しかし、近年は住宅価格が高騰しており、50代以上ともなると住宅ローンを組むことへの不安や老後資金、自身の健康、将来の相続など、考慮すべきことも多く、住まい選びは容易ではありません。
そこでこの記事では、武蔵野不動産相談室の畑中学(はたなか おさむ)が50代以上の人におすすめする「予算5,000万円」で実現する住まいの選択肢を紹介します。
<予算5,000万円の専門家おすすめプランをもっと詳しく>
【予算5,000万円】シングル・DINKsにプロがすすめる中古リノベ時代の最適解〜住宅価格高騰中、何を選ぶ?【前編】【予算5,000万円】ファミリーにプロがすすめる中古リノべ時代の最適解〜住宅価格高騰中、何を選ぶ?【後編】(近日公開)
1. 【予算5,000万円】で実現!50代からの住まい購入3つのポイント
50代以上の住み替えでは、資金面でもライフスタイルの面でも「老後の暮らし」を意識しなければなりません。できる限り今の自宅を活用したうえで、思い込みを排し、優先順位を付けて住まいを選ぶことで、予算を抑えながらもこれからの暮らしにあった住まいが見つけやすくなります。
1.今の自宅を活かす
今の市況では、都内などある程度利便性が高いエリアで5,000万円以内の住まいを見つけるのは難しいと言わざるを得ません。まずは今の自宅を売る、あるいは改修して活かすという考え方を持つことが大切です。
2.思い込みを排し、発想の転換を
一定の年代より上の世代になると「23区内じゃないとダメ」「一戸建てじゃないとダメ」といった先入観や思い込みを持っている人が多い印象があります。しかし、少し郊外にも目を向けてみたり、希望する条件とピッタリではない物件も見てみると「意外とアリかもしれない」と思えたりするものです。
また若い頃に比べると体力・気力が落ちてくることから、手間をかけて探すことを面倒に感じる傾向もあります。一方で、予算が限られている場合は同じ条件で時間をかけて物件を探しても希望の物件と出会えない可能性もあるため、前述のように思い切って発想を転換してみることを意識しましょう。
3.優先順位を決める
エリアや築年数、広さなどさまざまな希望があると思いますが、予算が5,000万円と限られている場合、すべての希望を叶えることは難しいのが実情です。また、予算的には可能であったとしても、家族の意見が合わないことが少なくありません。
だからこそ大切になるのが、「お金と時間をかけるべきところ」と「そうでないところ」の線引きをすることです。100%理想を追い求めるのではなく、80%満たせれば十分と考える“メリハリのある選択”が住まい探しの成功につながります。
ただし、本当に叶えたい部分まで諦めてマイホームを購入するのは本末転倒です。住まいに求める優先順位を決め、第一希望の暮らし方に注力することで、理想の暮らしを実現しやすくなります。
<50代からの住み替えについてもっと詳しく>
50代からの住み替え。ライフプランから考える、物件の選び方や資金計画2度目の住宅購入!「住み替え」は売るのが先?買うのが先?スムーズに進める方法を専門家が伝授

2. 50代以上の人必見!プロが教える【予算5,000万円】の具体事例3選
ここからは、実際に私が50代以上の人と一緒に住まい探しを進めたリアルな3つの事例を紹介します。
1.都内市部・駅遠・庭付き50坪の築浅中古戸建て【一戸建て】
最初の事例は、60歳前後のコンビニオーナーをしている夫婦の住み替えです。
夫婦は東京城西エリアの狭小3階建てに住んでいましたが「もっと広い家に住みたい」「庭と犬の散歩コースがある家が欲しい」という理由から、今の家を売却し、広くてゆっくりできる新築戸建ての購入を検討していました。
現在の自宅の売却価格は、5,800万円ほど。仲介手数料などの諸費用もかかること、また老後資金として手元に現金を残しておきたかったため住み替え先の物件の購入予算は5,000万円以内に設定していました。
当初は同じ城西エリアで物件を探していましたが、5,000万円以内で新築住宅を探すのは難しく、まして広い建物面積、庭と犬の散歩コースがある家となると、中古戸建てを含めてもなかなか条件が合いません。時間をかけて探しても理想の物件は出てこないと判断し、思い切って市部の中古戸建ても視野に入れることを提案し、エリアを広げて探し始めたところ、すぐに夫婦が納得できる住まいが見つかりました。
購入したのは、八王子市の中古戸建てです。築浅で延べ床面積は約50坪、駅からは少し距離があるものの近くにインターチェンジがあり、勤務先であるコンビニには車で週3日通うことにしました。近隣には大型スーパー等も複数あり、利便性が高い立地です。庭付きで、裏山には希望していた散歩コースもあり「自宅にいる間は、忙しいコンビニ業務を忘れて過ごせる」と非常に満足されています。まさに思い込みを排して理想の物件に出会えた事例です。
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いま「中古戸建て購入+リノベ」を専門家がすすめる理由。安心・快適な住まいのためにできること2.都心部・娘夫婦と2世帯同居。100㎡マンション+リフォーム【マンション】
続いての事例は、夫を亡くして都心部の100㎡ほどのマンションで一人暮らしをしていた70代女性のケースです。自宅のマンションは古くなって使い勝手が悪く、身体も動きにくくなり、終活を意識。娘夫婦と同居するために、自宅を売って2世帯住宅の新築を検討されていました。
都心部で2世帯住宅を購入または新築するとなると、1億円程度は優に超えてしまいます。母親のマンションを5,000万円程度で売却できる見込みだったため、娘夫婦が5,000万円程度の住宅ローンを組むことになりますが、娘夫婦の収入では少し無理がありました。そこで娘の夫の意向もあって、母親名義のマンションを娘夫婦が買い取り、100㎡を40㎡と60㎡の2世帯住宅にリフォームすることを提案しました。
娘は新築にあこがれがあったようですが、母親は新築にこだわっておらず、むしろ住み慣れた場所で暮らし続けられることに大賛成。税理士に相談の上、贈与税が課税されにくい時価の取引価格として4,000万円でマンションを買い取ることで、返済負担が抑えられ諸経費も低減しました。別案として全体の2分の1のみを娘夫婦が買い取り、母親と娘夫婦との共有名義にすることも検討しましたが、最終的には将来、相続で揉めることのないよう持ち分すべてを娘夫婦が買い取ることにしました。
すべてバリアフリーにして、玄関は1つ、浴室とトイレを2つずつ設け、キッチンを共有する同居型の2世帯住宅に改修し、部屋は全部で6室を確保しました。母親はマンションの売却費用のうち3,000万円を改修費に充て、新築同然の内装に生まれ変わりました。母親の「老後の面倒を見てもらいたい」「終活、相続対策をしたい」という希望、娘の「母親の面倒を見たい」「綺麗で快適な家を持ちたい」という希望を満たした形です。一般的な2世帯住宅は、将来的に1世帯分を持て余すことになる可能性もありますが、今回のように同居型であれば長くフレキシブルに住むことができます。
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不動産の親族間・親子間の「売買」は「相続」となにが違う?メリット・デメリットや注意点を紹介!
3.23区外縁部・築20年中古戸建て+リフォームに菜園【一戸建て】
最後に紹介するのは、都心部の一戸建てに住んでいた60代夫婦の事例です。住み替え前の自宅は立地こそいいものの、夫の兄弟と連棟式(複数の戸建てが壁や屋根などを共有しながら連結した建物)で所有しており、さらに息子も一緒に住んでいたため売却が難しい状況にありました。夫は「海に近い菜園付きの家がほしい」と希望し、具体的にはシニアローンを利用して千葉県南総の菜園付きの一戸建てを検討。一方の妻は長く都心部で暮らしてきたこともあり、田舎に移住することには否定的で、60代でローンを組むことにも反対していました。
ここまでの事例にも共通していますが、家族全員の意見が初めから一致することのほうが稀です。このような状況を踏まえ、私からは今の自宅に住み続けたいと言う息子に売却することを提案。加えて夫に「夫婦の優先順位を決めた上で優先順位の高い希望に絞って家を探したほうがいい」と進言しました。
息子との話し合いの結果、持ち分の一部を4,000万円で購入してもらう算段がつき、その費用内で購入できる家を探すことになりました。結果、住宅ローンを組まずに現金で購入できました。夫の希望は「菜園>海」で、妻は23区内であれば納得できるということだったため、練馬区で3,500万円、築20年ほどの中古戸建てを購入。500万円ほどかけてリフォームをしましたが、ほぼ4,000万円に収まりました。売主が敷地内で菜園をしており、近隣の農園も借りていたため、そのまま引き継いで借りることで、夫婦の希望を叶えることができました。
場所は限られますが、東京都23区でも庭付きや築年帯にこだわらなければ予算5,000万円で中古戸建てを購入することができます。リフォーム前提で住まいを探す際も、優先順位をつけることが大切です。綺麗な内装を優先したいのか、住宅性能を優先したいのかを決めておき、住まいの購入費用とリフォーム費用の概算の総額で比較しましょう。
3. 【予算5,000万円】でも、ここは削らない!安心・快適に住む秘訣
限られた予算の中でも、中古住宅を購入する際は建物の「状態」をよく確認するようにしましょう。とはいえ、自身で確認できることには限界があるため、検査(インスペクション)の実施や瑕疵(かし)保険の加入を検討することをおすすめします。
検査(インスペクション)を実施する
予算5,000万円となると、ほぼ選択肢は中古住宅になってきます。中古住宅は建物の「状態」の振れ幅が大きく、見えない部分に不具合、欠陥が見られる可能性があるため、検査(インスペクション)が不可欠です。検査(インスペクション)をすることで優先的にリフォーム、改修すべき部分が見え、改修に必要な予算も明確になります。
<キーワード解説・用語集>
インスペクション<インスペクションについてもっと詳しく>
中古戸建て・中古マンションの 「検査」「インスペクション」って?何を検査する?<中古戸建ての見極め方についてもっと詳しく>
「中古戸建てって本当に大丈夫?」不安を払拭&目利きをするための3つのポイント瑕疵(かし)保険に加入する
要件を満たし、検査の結果、適合すると認められれば瑕疵(かし)保険に加入できます。瑕疵保険とは、購入後に柱や基礎等の構造部分や外壁、屋根といった雨水の浸入を防止する部分で、雨漏りのような重大な不具合が発覚した場合に、修繕費用を補償してくれる保険です。すべての中古住宅が瑕疵(かし)保険に加入できるわけではありませんが、まずは不動産会社に相談してみましょう。
<キーワード解説・用語集>
既存住宅売買瑕疵保険<瑕疵(かし)保険についてもっと詳しく>
中古戸建て・中古マンションの売買や保有時のリスクを回避する「保険」や「保証」どんなものがある?4. 思い込みを排して優先度の高い理想を大事にすれば、【予算5,000万円】でも満足度の高い住まいに
限られた予算の中で住み替えるポイントは、本当に大事にしたい条件を優先することです。条件面に加え、たとえば親族間での売買を検討してみるなど、思い込みにとらわれないことも、選択肢を広げる鍵となります。視野を広げて検討することで、予算内でも納得度の高い住まいと出会えるはずです。
<予算5,000万円の専門家おすすめプランをもっと詳しく>
【予算5,000万円】シングル・DINKsにプロがすすめる中古リノベ時代の最適解〜住宅価格高騰中、何を選ぶ?【前編】【予算5,000万円】ファミリーにプロがすすめる中古リノべ時代の最適解〜住宅価格高騰中、何を選ぶ?【後編】(近日公開)