近年の住宅価格高騰などにより、多くの人にとってマイホームの現実的な選択肢は「中古住宅」にシフトしています。10年ほど前までは5,000万円の予算で都市部の新築住宅も購入できていましたが、近年の状況をふまえると、シングルやDINKs(ディンクス)におすすめなのは、交通の利便性が高いエリアでの「中古住宅+リノベ」。リノベーション済みの物件であっても、ちょっとしたリフォーム・リノベーションやDIYで「自分らしさ」のエッセンスを加えることで、理想を形にした住まいが実現しやすくなります。
この記事では、住宅メディアの編集長を経験した後、アイ・アンド・カンパニーを設立し代表を務める伊勢谷亜耶子(いせたに あやこ)が、シングル・DINKsにおすすめする「予算5,000万円」の具体的な物件選びとリノベーション戦略を紹介します。
<予算5,000万円の専門家おすすめプランをもっと詳しく>
【予算5,000万円】50代以上の人にプロがすすめる中古リノベ時代の最適解〜住宅価格高騰中、何を選ぶ?【中編】(近日公開)【予算5,000万円】ファミリーにプロがすすめる中古リノべ時代の最適解〜住宅価格高騰中、何を選ぶ?【後編】(近日公開)
1. シングル・DINKsにこそおすすめしたい「自分らしい」暮らし
現在の市況では、予算5,000万円以内で「築浅」「駅近」「十分な広さ」という3拍子揃った物件を購入するのは、正直なところかなり難しくなっています。いずれかの条件に妥協せざるを得ないケースがほとんどです。
その中でも、比較的、時間やお金に余裕のあるシングルやDINKs世帯は、ぜひ「自分らしい暮らしができるか」という視点を大切にしてみてください。将来の家族構成やライフプランの変化を見据えつつ「今の自分たちにフィットする住まい」が選びやすいのは、シングル・DINKs世帯ならではの強みです。
予算5,000万円となると「中古住宅+リノベ」が主な選択肢になってきますが、作ることが好きな人や、家を自分の暮らしに合わせたい人にとってこの選択は妥協ではなく、むしろ「自分らしさを体現する最適解」だと思います。私は現在、築50年程度の中古マンションをリノベーションして住んでいますが、過去に新築マンションに住んでいた頃以上に自分らしい暮らしができています。
<「中古住宅+リノベ」についてもっと詳しく>
「中古住宅+リノベ」に向いているのはどんな人? 伊勢谷亜耶子が出会った人や事例を紹介図1:伊勢谷邸リノベーションBefore・After


10年ほど前にリフォームされていた広さ約45㎡、築50年ほどの中古マンションを購入してリノベーションした
2. シングル・DINKs必見!プロが教える【予算5,000万円】の「物件+リノべ」最適解3選
ここからは、私が今、シングル・DINKsにおすすめしたい「予算5,000万円」で物件購入とリフォーム・リノベーションをして自分らしい暮らしを実現するリアルプランを3つ紹介します。
活動量も多く、今後、ライフプランが変化する可能性もあるシングル・DINKs世帯が、将来的な売却のしやすさも考慮できるよう、都心でも郊外でも交通利便性の高いエリアに住むことを想定しています。
1.都心の「マイナー駅」・中古コンパクトマンション+リフォーム・リノベ【マンション】
必要な「広さ」を考え直してみるのは、住まいの選択肢を広げる方法の一つです。たとえば、実現するかどうかわからない将来に備えて単身で「70㎡以上必要」と言う人も少なくありません。その人たちに実現したい暮らしについて深く聞いてみると、広さ以上に立地や「自分らしさ」を大切にしていることが判明したりします。コンパクトな物件は収納が少ない懸念がありますが、外部ストレージや保管サービスを利用することで、コンパクトな住まいでも快適に住むことができます。
都心でもJRを中心としたメジャーな路線の駅を外し、東京メトロや私鉄などを候補に入れることで、5,000万円以内で購入+リフォーム・リノベーションできるコンパクトな物件を見つけやすくなります。たとえば、同じ杉並区でもJR中央線の高円寺駅や荻窪駅は厳しいかもしれませんが、東京メトロ丸の内線の方南町駅を狙うなど「路線を変える」「1駅ずらす」ことで選択肢がぐっと増えます。
自分に合った穴場の街は、“点で探す”のではなく“面で感じる”ことで見えてきます。物件データだけで判断せず、実際に現地を歩いて街の雰囲気を感じることが大切です。
<まち選びについてもっと詳しく>
家探しは「まち選び」から! 伊勢谷亜耶子が「中古住宅購入+リノベーション」を推す理由2.23区内・旧耐震・リノベ済みマンション+プチリノベ【マンション】
広さと立地に妥協できなければ、旧耐震基準で建築された築古物件(1981年5月以前に建築確認申請された物件)が主な候補になってきます。予算的に線路沿いや高速道路沿いなどの物件も候補に入ってきますが、音や環境の妥協点を見極めれば、必ずしも住みにくいということはありません。
ただ、近年は中古住宅市場の競争も激しく、好立地で買い手がすぐにつきそうな物件は買取再販事業者などのプロが先に押さえるため「手つかずの物件」が少なく、築古マンションとなるとその多くはリノベーション済みです。運よく手つかずの物件が見つけられたらとても“ラッキー”。手を加えられていない物件ほど自由度が高く、安く購入できれば予算調整の幅も広がります。
<買取再販住宅についてもっと詳しく>
不動産会社が販売するリフォーム・リノベーション済み中古住宅「買取再販住宅」ってどうなの?そのメリットは?たとえリノベーション済みであったとしても、私がおすすめしたいのは「プチリノベ」。大きな改修である必要はありません。たとえば、キッチンやダイニングの周りに腰壁を立ててカフェのような雰囲気にしてみたり、ペット好きの人なら愛犬、愛猫が伸び伸び暮らせるようにしてみたり。私自身もそうですが、自分だけのオリジナル空間で暮らすと、人生の幸福度は一層高まると思います。
3.郊外・築10〜20年程度の中古戸建て+部分リフォーム・性能向上【一戸建て】
近年、不動産価格が著しく上昇していますが、マンションと比べて一戸建ての上昇率は小さく、同じエリアであってもマンションと比べて一戸建ての価格が低いこともあります。土地付きの一戸建ては、価格面でも安定性があるため、資産としても狙い目です。
<中古戸建ての見極め方についてもっと詳しく>
「中古戸建てって本当に大丈夫?」不安を払拭&目利きをするための3つのポイントとはいえ、予算5,000万円となると、東京23区内では住宅ローンが付きにくい“訳あり”物件が中心です。一方、東京都市部や神奈川・埼玉・千葉などの郊外であれば地価が比較的低く、物件数も豊富です。築浅とまではいかないかもしれませんが、築10〜20年程度の物件も候補に入ってくるでしょう。23区外縁の北区、荒川区、板橋区、練馬区などで条件に合う物件が見つかる可能性もあります。
マンションは、基本的に区分所有者が構造部分まで改修することはできませんが、一戸建てなら耐震補強や性能向上のリノベーションも可能です。その分、マンションと比べてリノベーションに割く予算が高くなる傾向にあるため、購入時には物件価格にリノベーション費用を加えた総額を見ておくことが大切です。
3. リフォーム・リノベーション前提で住まいを探すときのポイント
リフォーム・リノベーション前提で住まいを探す際は、物件の条件に加え「状態」をよく確認したうえで、購入前からリフォーム・リノベーション後をイメージして比較検討することが大切です。
「住まいに本当に求めること」を洗い出す
広さや間取り、立地などさまざまな希望があると思いますが「住まいに本当に求めること」が顕在化していない人も少なくありません。「絶対条件」と「あったらいい条件」を分けて考え、優先順位をつけていくことで、限られた予算の中でも納得できる物件に出会いやすくなります。
仲介会社よりも先にリノベーション会社に相談してみる
まずは先入観や思い込みを捨て、リノベーション会社に相談してみるのもいいと思います。不動産仲介会社は市場にある物件を「仲介」するプロであり、自分らしさを形にしたり、潜在的なニーズを掘り起こしたりする能力に必ずしも長けているわけではありません。仲介会社は不動産を売ることが仕事でもあるので、自分自身と向き合って条件を決めたり、形にしたりする過程ではリノベーション会社が向いていることがあります。
ただし、リノベーション会社と言っても設計事務所や工務店、仲介からリフォーム・リノベーションまでワンストップでやっている会社など形態はさまざまです。それぞれ得意分野も異なるため、自分の希望に合う改修をしてくれるかどうか比較しながら検討しましょう。
マンションは修繕履歴・修繕計画をしっかり確認する
どのような築年帯のマンションにも共通することですが、特に旧耐震のマンションを検討する場合は「管理体制」を必ずチェックしておきたいところです。旧耐震のマンションは耐震補強されているのが一番ですが、それ以上に「これまで適切に修繕されてきたのか」「長期修繕計画が立てられているのか」「修繕積立金がしっかり積み立てられているのか」は見ておきたいポイントです。
シングルやDINKsだと子育て世帯が多いマンションを敬遠することもあるかもしれませんが、若い人が多いということは古くなってもしっかり市場に流通して売買されている証。適正に管理していきたいと考える世帯も多い傾向にあります。
<キーワード解説・用語集>
修繕積立金<マンション管理についてもっと詳しく>
中古マンションの修繕積立金が3.1%引き上げで負担増! 今後上がりそうなマンションの見分け方<「中古マンション購入+リノベーション」についてもっと詳しく>
中古マンションを購入してリノベーションしたい!物件や改修内容を決めるときのポイントとは
一戸建てはできる限り購入前に検査(インスペクション)を実施する
一戸建てはマンション以上に見えない部分に瑕疵(かし、不具合や欠陥)が生じている可能性が高いため、できれば購入前に検査(インスペクション)を実施しましょう。検査をすることで、リノベーションすべき部分や予算も明確になります。一戸建ては予算の割り振りが難しいこともあり、検査(インスペクション)は不可欠だと思います。
<キーワード解説・用語集>
インスペクション<インスペクションについてもっと詳しく>
中古戸建て・中古マンションの 「検査」「インスペクション」って?何を検査する?加えて、できれば瑕疵(かし)保険の加入も検討してみましょう。瑕疵(かし)保険に加入するには適合検査に通る必要がありますが、検査に適合しない部分の補修を引渡し後のリフォームとあわせて実施することで加入できる仕組みもあります。
<キーワード解説・用語集>
既存住宅売買瑕疵保険<瑕疵(かし)保険についてもっと詳しく>
中古戸建て・中古マンションの売買や保有時のリスクを回避する「保険」や「保証」どんなものがある?4. 【予算5,000万円】でも、視野を広げて「自分らしい住まい」を実現しよう
住宅価格が高騰する今、予算5,000万円で理想の住まいを見つけるには、視野を広げながら柔軟に検討していくことが大切です。「中古住宅+リノベ」は、シングル・DINKsが「自分らしさ」を体現しやすい選択肢です。築年数や立地などで多少の調整は必要になりますが、住まいに求める条件の優先順位を整理し、物件の状態をしっかり確認したうえでリフォーム・リノベーションプランもあわせて検討していけば、自分の求める暮らしにより近づけるはずです。
<予算5,000万円の専門家おすすめプランをもっと詳しく>
【予算5,000万円】50代以上の人にプロがすすめる中古リノベ時代の最適解〜住宅価格高騰中、何を選ぶ?【中編】(近日公開)【予算5,000万円】ファミリーにプロがすすめる中古リノべ時代の最適解〜住宅価格高騰中、何を選ぶ?【後編】(近日公開)